少額免税制度の見直し、物品販売に係るプラットフォーム課税について理解しましょう!

近年、インターネットを通じて海外の事業者から直接商品やサービスを購入する「国境を越えた電子商取引(クロスボーダー取引)」が急速に拡大しています。これに伴い、国内事業者と海外事業者との間の税制上の公平性を確保し、消費税の徴収を適正化するための抜本的な見直しが行われました。

1. 少額免税制度の見直し


参照元:財務省パンフレット

これまで、海外から輸入される郵便物や国際宅配便などのうち、課税価格が1万円以下(商品価格の目安として約1万6,666円以下)の少額貨物については、輸入時の消費税が免除されていました。

しかし、海外のECサイト(電子商取引サイト)から個人の消費者が直接少額の物品を購入するケースが激増した結果、国内の小売業者との間で不公平が生じているという指摘が強まっていました。

国内で同じ商品を買えば消費税がかかるのに対し、海外から個人輸入すれば消費税がかからないためです。

改正のポイント

今回の改正では、この「少額輸入貨物の消費税免税制度」が抜本的に見直され、原則として廃止、または厳格化されることとなりました。

  • 課税の一律化: 取引金額の多少にかかわらず、海外からの輸入物品に対しても適切に消費税を課す仕組みへと移行します。
  • 国内産業の保護: 免税措置をなくすことで、海外EC事業者に対して不利な状況に置かれていた国内の製造業や小売業の競争環境(イコールフィッティング)を整えます。

これにより、消費者が海外サイトから低価格の衣服や雑貨、ガジェットなどを購入する際にも、国内での買い物と同様に消費税が上乗せされる(あるいは輸入時に徴収される)ことになります。

2. 物品販売に係るプラットフォーム課税


参照元:財務省パンフレット

少額免税制度が見直されてすべての輸入物品に消費税がかかるようになると、次に問題となるのが「どのようにして確実に税金を回収するか」という徴収体制の課題です。海外にいる無数の零細な販売業者から、日本の税務当局が個別に消費税を徴収するのは現実的に極めて困難だからです。

そこで導入されたのが、「物品販売に係るプラットフォーム課税」です。

改正のポイント

インターネット上の巨大なショッピングモール(デジタル・プラットフォーム:DPF)を運営する事業者に対し、海外セラー(販売者)に代わって消費税を納める義務を課す制度です。

  • 納税義務の転換: 海外の個々のセラーではなく、取引の「場」を提供している大手プラットフォーム(例:海外の大手ECモールやフリーマケットアプリなど)を納税義務者とみなします。
  • 確実な税負担の実現: プラットフォーム事業者が消費者から購入時に消費税相当額を預かり、一括して日本の税務当局に申告・納税します。

すでにデジタルサービス(電子書籍や音楽配信、広告など)の分野では、先行してプラットフォーム課税(※デジタル・プラットフォーム課税)の導入が進められていましたが、今回の令和8年度改正によって、これが形のある「物品(モノ)」の販売・輸入にも本格的に拡大される形となりました。

国境の壁がなくなった現代のデジタル経済に合わせ、消費税の「取りこぼし」を防ぐための大きな一歩です。

消費者にとっては海外からの個人輸入が少し値上がりしたように感じられる変化ですが、国内の事業者にとっては「同じ条件で公明正大に勝負できる環境」が整う、極めて重要な適正化であると言えます。

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