1.翌期分の費用(経費)を前払することで節税する。

法人の場合は事業年度ごとに、個人事業者の場合は暦年ごとに、経費となるものは売上に対応するものに限られます。したがって、本来は翌期分の経費を当期中に支払っても経費とはなりません。

しかし、税法上、支払った日から1年以内に継続的に役務の提供を受けるものの経費を支払ったときに、支払ったときの経費として継続して処理している場合は、当期の経費とすることができます。これは1年以内のものですので、3ヵ月分や6カ月分などでも構いません。具体的には、地代家賃・保険料などがあります。

2.家賃での具体例(3月決算法人)

家賃を月払いしている場合、通常は1ヵ月分を前払いしていますので、4~2月までに11ヵ月分を支払っています。3月末に翌期の12ヶ月分を前払いすると、当期の家賃は11ヵ月分+12か月分=23か月分となります。

なお、消費税は支払ったときに課税仕入れとなりますので、原則課税を選択している場合、消費税も節税することができます。

3.注意点

  • 前払いをする1年目は約2年分の経費とすることができますが、翌年以降は常に前払いをすることになるため、1年分の経費となります。つまり、初回のみの節税となります。
  • 月払いの契約を年払い契約に変更し、継続的に毎年1年分を前払いする必要がありますので、今年は1年分の前払いをして、来年は1年分の前払いをしないということはできません。
    ただし、その後永久に前払いをしなくてはいけない訳ではなく、前払いをしたり、しなかったりとすると利益操作と見られる可能性がありますので、数年間は継続することが必要となります
  • 資金面では、家賃を1年分前払いするためには、多額の資金が必要となることがありますので、当期だけではなく、翌期以降の業績も考慮して行うこととなります。
  • 事前に前払いをする相手方に前払いする旨を伝えておく方が良いと思われます。前払いされることを嫌がられる場合があります。
  • 家主(支払先)が倒産した場合に、前払分の家賃が返還されないリスクがあります。
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