2019年06月06日 所長・スタッフブログ

1.概要

基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者は、実際の仕入れに係る消費税額を計算することなく、売上に係る消費税額から売上の返還等に係る消費税額を控除した残額に、一定のみなし仕入率を乗じて計算した金額を、仕入れに係る消費税額とみなして控除する方法(簡易課税制度)を選択することができます。

この簡易課税制度を選択しようとする場合には、その選択をしようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

なお簡易課税制度を選択した後、その選択をやめようとする場合には「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要がありますが、簡易課税制度を選択した最初の課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することはできません。つまり一度簡易課税制度を選択した場合は、2年間継続適用する必要があります。いわゆる2年縛りです。

この「消費税簡易課税制度選択届出書」の効力は「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出するまではずっと続きます。つまり、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出後、基準期間の課税売上高が5,000万円を超えたことにより、簡易課税制度の適用を受けられなくなった場合や、基準期間の課税売上高が1,000万円以下となったことにより、免税事業者となった場合であっても、その後基準期間の課税売上高が1,000万円超5,000万円以下となったときは、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出している場合を除き、簡易課税制度が適用されることになるので注意が必要です。

 

簡易課税制度の事業区分、みなし仕入率は次の通りです。

・第一種事業(卸売業)       90%

・第二種事業(小売業)       80%

・第三種事業(建設業・製造業等)  70%

・第四種事業(その他の事業)    60%

・第五種事業(サービス業等)    50%

・第六種事業(不動産業)      40%

事業区分は原則として資産の譲渡等ごとに判定するので、例えば主に卸売業を営んでいる事業者が、事業用不動産の賃貸収入を受け取った場合には、その資産の譲渡等については、第六種事業として取り扱います。

 

2.簡易ではない簡易課税制度

簡易課税制度は、中小事業者の事務負担に配慮して、事務の簡素化を図るために設けられている制度です。しかし、実際の仕入れ等に係る消費税額を計算する必要がない代わりに、課税売上を上記の第一種から第六種までのいずれかに区分する必要が生じます。この区分はおおむね日本標準産業分類の大分類を基礎に判定しますが、例外が山ほど存在します。消費税の課否判定に比べて、簡易課税制度の売上区分の方が圧倒的に難しいです。課税、不課税、非課税、免税の課否判定に対して、簡易課税制度の売上区分は選択肢が6つもあるのも原因でしょうか。

非常にややこしい一例として、自動車整備業が挙げられます。自動車整備業は日本標準産業分類ではサービス業に分類されますので、自動車の修理は第五種事業に該当します。自動車の修理に伴う部品代を区分している場合であっても、その部品代も含めて第五種事業になります。

しかし、タイヤ交換やオイル交換の場合のタイヤ代、オイル代を区分していた場合は、商品の販売代に該当し、相手が事業者か否かによって、第一種事業か第二種事業となります。ただしこの場合も工賃は第五種事業です。

修理部品代とタイヤ代と何が異なるのか、はっきり分かりません。どこに線引きがあろうと、グレーの範囲が多すぎるように感じられます。

 

3.益税の発生

簡易課税制度は、本来は上述の通り中小事業者の事務負担軽減のための制度です。しかし顧問税理士がいる事業者にとっては、原則課税方式に比べて納税額が少なくなるかもしれないチャンスでしかありません。この場合、原則課税方式と簡易課税方式のどちらが有利になるかを試算した上で、簡易課税方式が有利であれば、簡易課税方式を選択します。試算通りにいくとは限りませんが、簡易課税方式を選択した場合、益税が発生する可能性は非常に高くなります。我々税理士はこの試算を正確にするために、原則課税方式、簡易課税方式のいずれの納税額も計算できるように帳簿作成をしています。事務負担軽減どころか、倍の負担になっているのが現状です。

また、この益税の問題は、納税者と税理士との間でトラブルになりやすい項目です。簡易課税関係の届出書は、基本的には適用を受けたい課税期間の初日の前日までに提出する必要があります。簡易課税の選択届出書の提出漏れや、税理士変更した納税者について、過去に簡易課税を選択していた場合の簡易課税制度選択不適用届出書の提出漏れなどにより、トラブルが生じることが考えられます。設備投資などの金額が大きい場合、それぞれの計算方式での納税額の差も大きくなるので、届出状況をしっかりと確認した上で、慎重な判断が求められます。

 

4.提言

私の考えとしては、

 ・全業種みなし仕入率4割

 ・事前選択不要

というのが理想です。

簡易課税方式は、その名の通り簡易であるべきと考えています。また簡易な計算方式により納税額を計算するのに、原則課税方式で手間をかけて計算した納税額より少なくなることにも違和感を覚えます。

事業者免税点制度、簡易課税制度により、合わせて数千億円の益税が発生しているとも言われています。逆に病院や不動産業などの非課税対応仕入による損税(控除対象外消費税)の問題もあります。

税金は平等に分かりやすくあってほしいですね。軽減税率さん、君にも言っているんやで。

 

和知 秀永

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