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所得税法上の通勤手当と社会保険上の通勤手当

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投稿日:2018年6月7日(木)

 通勤手当とは、通勤に係る費用を補助するために、会社が従業員に支払う手当です。通勤手当を支給している会社の割合は9割程度にもなり、諸手当の中ではかなりポピュラーなものです。所得税法と社会保険で取り扱いが異なりますので、それぞれ見ていきましょう。

 

1.所得税法上の取り扱い

 所得税法上は、通勤手当や通勤定期券などは、一定の限度額まで非課税となっています。この限度額の計算方法は下記の通りです。

  ①公共交通機関を利用して通勤している場合

 最も合理的な経路で通勤した場合の通勤定期券の金額(月額15万円を限度)まで非課税とされます。

 平成10年3月以前は月額5万円、平成27年12月以前は月額10万円が限度でしたが、交通機関の発達により、新幹線を利用した通勤も珍しくなくなってきていることから、改正により限度額が引き上げられました。例えば、京都・名古屋間の1か月定期券は119,100円ですので、この改正により通勤定期券代の全額が非課税扱いに出来るようになりました。乗車時間もわずか35分ですので、十分通勤できる時間です。

 

  ②マイカーや自転車を利用して通勤している場合

 片道の通勤距離に応じて、下記の金額まで非課税とされます。

 ・2キロメートル未満の場合は、全額課税

 ・2キロメートル以上、10キロメートル未満の場合は、1か月当たり4,200円

 ・10キロメートル以上、15キロメートル未満の場合は、1か月当たり7,100円

 ・15キロメートル以上、25キロメートル未満の場合は、1か月当たり12,900円

 ・25キロメートル以上、35キロメートル未満の場合は、1か月当たり18,700円

 ・35キロメートル以上、45キロメートル未満の場合は、1か月当たり24,400円

 ・45キロメートル以上、55キロメートル未満の場合は、1か月当たり28,000円

 ・55キロメートル以上の場合は、1か月当たり31,600円

 

  ③公共交通機関とマイカーや自転車を併用して通勤している場合

 上記①と②の合計額(月額15万円を限度)まで非課税とされます。

 

  非課税となる限度額を超えて通勤手当や通勤定期券などを支給する場合には、超える部分の金額が給与として課税されます。超える部分の金額については、通勤手当や通勤定期券などを支給した月に、給与の額に上乗せして所得税及び復興特別所得税の源泉徴収を行う必要があります。例えば4月に3ヶ月分の通勤定期券代として50万円を支給した場合は、4月に5万円(=50万円-15万円×3ヶ月)を給与の額に上乗せして課税することになります。

 なお、非課税限度額を超えて支給した通勤手当であっても、通勤のために通常必要とする範囲内のものは、消費税の計算上、課税仕入れとして取り扱うことになります。

 

2.社会保険上の通勤手当

 社会保険料を算出するために、事業主が社会保険の被保険者に対して支払った報酬を年金事務所に届出する必要がありますが、この報酬に通勤手当は含まれるのでしょうか?

 結論から言いますと、含まれることになります。社会保険における報酬とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受ける全てのものをいいます。

 通勤手当については、本来は労働者が自己で負担すべきものですが、事業主が福利厚生の一環として支給しているという位置づけになります。支給している会社が大多数を占めるとはいえ、事業主が支給することは法律上義務付けられておらず、また業務命令による出張費などのように、実費弁済により事業主が負担するべきものとは異なることから、社会保険料の算定の基礎となる報酬に含まれることになります。

 また、仮に通勤手当を算定基礎から除いた場合には、標準報酬が減少することにより、保険料収入が減少するため、それを補填するためには保険料率を上げる必要が生じます。結果的に、通勤手当の支給がない事業主や労働者に社会保険料の負担が移転することにつながることも指摘されています。

(平成26年3月20日 社会保険料算出における「交通費」の取り扱いに関する質問に対する答弁書より) 

 

 上記の通り、通勤手当=報酬となりますので、引っ越しなどにより通勤経路が変更となった場合に、通勤手当の金額が変更となったときは、変更後の通勤手当の支給月から起算して、随時改定の判定をすることになります。 

 

 なお、通勤手当を数ヶ月分まとめて支給した場合の算定基礎額は、通勤手当の支給金額を支給対象月数で按分して、支給月から起算して、それぞれの月に配賦することになります。

 上記の例のように、4月に3ヶ月分の通勤定期券代として50万円を支給した場合は、4,5,6月それぞれに166,666円(=50万円÷3ヶ月)を配賦することになります。仮に4月に支給した通勤手当が5,6,7月分の通勤手当であった場合も、4,5,6月に配賦します。1円未満の端数は切り捨てで問題ありません。

(日本年金機構 疑義照会回答より)

 

 3.まとめ

 所得税と社会保険でだいぶ考え方が違いますね。私のように税法から入った人間にとっては、社会保険の考え方に対して多少の違和感を覚えます。逆に社会保険労務士の先生にとっては、通勤手当の非課税に違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。

 高額の通勤手当を支給するくらいなら、会社の近くに社宅を用意することで、会社の金銭的な負担や従業員の時間的な負担を軽減することも可能です。社宅も税法と社会保険とそれぞれの考え方がありますので、また後日ブログに記載しますね。

 

和知 秀永

 

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