2017年09月21日 所長・スタッフブログ

 

平成28年度税制改正において、減価償却資産の償却方法について見直しがされました。

具体的には、平成28年4月1日以降に取得する「建物附属設備」「構築物」について、選択可能な償却

方法が「定額法」に一本化される、という内容です。

 

もともと、建物については、平成10年4月1日以降に取得したものは「定額法」に限定されていました

ので、平成28年度の改正で「建物附属設備」「構築物」も同様の形となりました。

 

減価償却資産

改正前

改正後

建物附属設備・構築物

定額法 又は 定率法

定額法

 

 

今回は、上記の改正をふまえて、平成28年4月1日以降に、既存の「建物附属設備」「構築物」に

ついて資本的支出(※)をした場合の取扱いを確認してみます。

 

一般に、既存の減価償却資産について資本的支出をした場合の取扱いは以下の通りとなります。

 

【原則】

 →資本的支出の金額を取得価額として、新たに資産を取得したものとします。

 

【特例①】

(既存の減価償却資産を平成19年3月31日以前に取得した場合)

 →既存の減価償却資産の取得価額に資本的支出の金額を加算し、一体として旧定額法または旧定

  率法で償却することができます。

 

【特例②】

(既存の減価償却資産を平成19年4月1日以降に取得し、既存分と資本的支出分について200%定率法

 を採用している場合)

 →資本的支出をした事業年度の翌事業年度に、既存の減価償却資産の帳簿価額と資本的支出分の

  帳簿価額を合計した金額を取得価額とし、新たに資産を取得したものとして一体として償却する

  ことができます。

  ※「定率法」でも平成24年3月31日以前は250%定率法となりますので、特例②は適用できません。

 

 

では、既存の「建物附属設備」「構築物」について、平成28年4月1日以降に資本的支出をした場合

の取扱いはどうなるでしょうか。特例は適用できるのでしょうか。

 

①原則による場合

 資本的支出の金額を取得価額として新たに資産計上し、「定額法」で償却することとなります。

 

②上記特例①の適用を受けたい場合

 当該特例は適用が可能です。

 すなわち、平成28年4月1日以降に既存の「建物附属設備」「構築物」について資本的支出をした

 場合も、既存の「建物附属設備」「構築物」と同様の償却方法を選択することが可能です。

 (既存分が旧定率法を適用している場合は、資本的支出部分も旧定率法で償却が可能です)

 

③上記特例②の適用を受けたい場合

 平成28年4月1日以降の資本的支出については200%定率法を適用できないため、既存分と償却方法

 が異なります。したがって、当該特例は適用を受けることができず、原則によることとなります。

  

減価償却方法の改正が行われましたが、特例の適用可否により毎年の損金の額が異なります。

自社にとって有利となる方法を選択いただければと思います。

  

 

※資本的支出とは・・・

 減価償却資産を修理又は改良するために支出した金額のうち、資産価値を高める又は耐用年数を延長させる部分に相当する支出を言います。

 例えば、建物に避難階段を取り付けるなど物理的に付加した部分に係る費用や、用途変更のための模様替えなどの改造や改装に要した費用が該当します。

 これらの資本的支出部分は資産に計上し、減価償却により費用化します。

 

嶋村 真崇

 

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